「お、お兄ちゃん靴履くまで待って…!」 「さすがに置いてかないよ」 お兄ちゃんははっと笑うとお母さんを呼んだ。 「雫とふたりで行ってくる」 「そっか…今日は雫も行くのね わかった 行ってらっしゃい」 今日は…? 「ねえおかあさん」 「ん? あ…優(ゆう)、先に行っちゃったみたいよ」 「えっ」 さっき待ってくれるって言ったのに! 私はつま先で地面を数回叩くと「いってきます」と叫んで重たいドアを力いっぱい押した。