「愛与に近づきたかった……」




潤んだ瞳で俺のことを話す真雪が、やっぱり愛しい……。




俺は泰希みたいに真面目で爽やかな奴じゃない。




一途で純情でも無かった……。




それでも、




俺を選べって……真雪に言いたかった。




肩を竦めて俺の傍らに居る真雪を、抱き締めたい。




軽く握り締めた両手を開いた時、




「……色んな女の子を抱いてる愛与なら、わたしも抱いてもらえると思ったの」




俺の動きは完全に止まった。




誰でもカンタンに相手してしまう俺だから……、




だから屋上で出会った真雪は、俺に誘いかけてきた。




俺に憧れてる、なんて理由までくっつけて。





“誰でも良いから抱いて欲しかった”


さっき泰希に言われた言葉が、頭の奥の方から蘇ってくる。



ぶつけようのない苛立ちと共に……。




「……なんだよ、それ。試したのか?」



「ごめんなさい……」




申し訳なさそうに俯いた真雪が余計に腹立たしく思えた。




「なんで謝んだよっ」



謝ったりしたら、まるで……それを認めてるみたいじゃねぇかよ……。