「芽衣!置いてくぞー?」


「あ、ちょっと待ってー!」


海に行くって言ってくれた朔、毎日一緒にいても今までと何も変わらない感じがしてたでもいざ出かけると少し緊張する。幼馴染だけど関係ないくらい緊張して朔の顔なんて見れない。迷子になられても困るってずっと手を繋いでくれるし荷物も持ってくれてる。俺のも入れてもらってるし当然って言ってた


「久しぶりに来たなこの海。芽衣と来たのなんて何年ぶりだろうな」


「凄く小さい時の話でしょう?」


「俺、すげー嬉しいんだ。お前とここにまた来れて。」


夏だし、遊泳のできるこの海は人が沢山いて朔の手なんか離したらはぐれてしまいそうな程。海に入るつもりは2人ともないけどこうやって砂浜から海を見るのも新鮮でいいなとすごく思った。


「飲みもん買ってくるから此処で待っててくれるか?」


「いいのにそんなの、」


「倒れられても困る。買ってくるから待ってて?」


すぐそこだし。って付け足して朔は走っていってしまった…こんなに人の多いところで1人になった。まぁ朔が戻ってくるまでの間なんだから大丈夫。


「あれ?こんな所で1人?」

知らない人から声をかけられた。それがナンパだということにはすぐ気づいた違うんだって人を待ってると言ったけど聞く訳もなく


「いいから行こうよこっちなら楽しいよ?」

怖い。朔、早く来て…早く来て欲しくて心でそう願う。でも来る気配すらなかった

「俺の連れなんで、どいてもらえます?」

「なんだ、男いんのかよ」


ナンパしてきた人達は違う方へと歩いていった。助けてくれたのはどこかで見たことあるけど名前までは…わからない


「原田、なんでここに一人でいるわけ?」

「えっと…あ、佐野くんか!」


「今思い出したの?まったく。俺の話逸らさないで?」

「あ、そのね一人で来た訳じゃなくて」

「わかってるよ、生島とだろ?」

佐野くんは朔が来てくれる迄一緒にいると言ってくれて2人で朔を待つ。

「あの、佐野くんありがとね?助けてくれて」

「ほかの女がお前に何言うとかわかんねぇけど、男には気をつけろよ。生島とだけに」

「え?どういう」

それを聞く前に、朔が戻ってきた。驚いてる様子の朔に、佐野くんが話をしてくれた。