雪の降り注ぐ寒い日、僕は慌てて喫茶店に駆け込んだ。

「コーヒー１つください」

雪で冷え切った身体を温めるために。

だんだんとかじかんだ手もほぐれていった。

喫茶店に入ったついでに学校の課題でもしようと荷物を取り出す。
課題に手をつけ出すとなにかいつもと違うことに気がついた。

「静かすぎる」

いつも人の多いカフェで勉強をしてきたからか人のざわめきが心地よくなっていた。

見渡してみれば客は自分1人。
それもそのはず、こんな裏通りの廃れた喫茶店誰も来ないだろう。

たまたま道を間違えかけ込んだ先がここであっただけでいつもなら絶対来るはずのない場所。

少し落ち着かない。

「場所変えようかな」

そう思い店を出ようと立ち上がった時だった。

「コーヒーのおかわりはいかがですか？」
とてもかわいらしい女の子が問いかける。

迷わず答えた。

「お願いします」