ーーコンコン
誰だろ。
「はーい」
ーーガラガラ
「お前が今頃、暇だから誰か話し相手いないかなぁーって所に来てやったぜ」
「…………。」
「な、なんだよその目はーやめて…?悲しくなっちゃう。」
なにそれ…。
「ブハッ…!!陽介くんてこんなキャラだったっけ?アハハっ!ていうかね、そんな事考えてないからー!!」
「えー、実際はどんなんでしょうねー?あれれぇ?美玲さーん?」
うっ、……図星だ…。
「あーもー!!うるさいなー!飴でも食べてなさい!」
「むぐっ!急に人の口に飴を突っ込むのは良くないぞー?可愛げないな〜」
「むむっ!こんな可愛い乙女に何たる事を言うのさ!」
自分で言っちゃったよ…恥ずかしー…。
「ブハッ!自分で言ってやんの!ハハッ!まー確かに田中って、可愛いよな。」
「……っ!!」
そんな急に真剣な目で見つめられたら、意識しちゃうじゃん。違う、落ち着け。私は、陽介くん事は好きじゃない。大丈夫、大丈夫。
「なーに、照れてんの?」
陽介くんは、ニヤニヤしながら聞いてきた。
「うるさいっ!もう……っ!」
「うわっ!?ちょ、痛っ!?何すんだよ!」
「もういいもん!帰って!」
大丈夫。平常心、平常心。
「ったくなんだよもー、せっかく来たのにー…。じゃ、また来るな。」
陽介くんはそう言って帰って行った。
『田中って、可愛いよな。』
今の私の頭の中は、陽介くんの言ったその言葉でいっぱいだった。