まるで拗ねた子どもだ……
鐘三つ分の沈黙が流れる。
固く閉ざされたドアにようやく数センチの隙間が作られた。
「何の用だ……?」
奏の顔ときたらそれは不機嫌で、眉間には長い時間つけていたであろう線がクッキリと癖になっている。
「今、高津書房でアルバイトをさせてもらっていて、今日は早見さんが急なミーティングでここには来られないので代理で先生の原稿を受け取りに参りまし――…」
満の説明が最後まで終わらないうちに奏は早々とドアを閉めようとした。
こんな横暴なやり方も満にとっては想定内だ。
満はとっさに足をドアに挟みこんだ。
多少痛みはともなったが、厚い皮のブーツのお蔭でそれほど酷いものにはならなかった。
「足をどけろ」
「そしたら扉閉めちゃうでしょう」
「当たり前だ」



