しかも立てこもり真っ最中の武長 奏が相手なら尚更。
『先生、携帯とか持たない主義だし、私はこれから急な打ち合わせで動けないし……。この連載に穴空けたら今度こそクビよぉ!』
髪を振り乱して嘆(なげ)く珠子。
彼女の事を心から気の毒だと思いながらも、あの作家から原稿をぶん取って戻ってくる自信がない満。
刻一刻と迫る打ち合わせ開始時間と原稿の締め切り。
『大丈夫。満ちゃんはきっと先生の特別だもの。もしかして、私よりも上手く心をつかめるかもしれない』
『そんなポジティブな……』
行かせるつもり満々な珠子に満は不安ばかりが募っていく。
特別は特別でも“特別嫌い”の特別な気がする……
そんな理屈をまともに聞いている余裕など打ち合わせを控えた編集者には皆無だった。



