恋は小説よりも奇なり


連絡などあるはずがないと思っていた相手からのまさかのコール。

スマホを握る手にも力が入る。

満は大きく深呼吸をしてから通話ボタンを押した。

「もしもし、瀬戸です……」

「高津書房の早見です。こんばんは」

初対面の時と変わりない明るい珠子の声。

それに安心して満も「こんばんは」と返事をする。

「ねぇ、満ちゃん。突然なんだけど冬休みとか予定空いてる?」

「冬休みはとくにこれといったものは無いので大学の図書館で例年通り働こうかと……」

「そっか、じゃぁ無理は言えないかな……」

満の耳に心無しかしょんぼりとしている珠子の声が聞こえた。

「あの、何かあるんですか?」

満は気になって珠子に問い掛ける。

二人の間に数秒の間が流れた。