恋は小説よりも奇なり


珠子と満が初対面を果たしてから数ヶ月という日が流れた。

季節は冬。

マフラーも手袋も必需品になる季節だ。

あの夜、珠子は自分の名刺を満に渡し、スマホの番号とメールアドレスなどを教えていった。


『いつでも連絡して。また一緒にご飯食べましょう』


ファミレスを出た時、珠子は確かにそう言っていたが、満自身それが実現するという厚かましい考えなど持っていなかった。

満はただの女子大生で珠子は売れっ子作家の担当編集者。

大学生に付き合っているほど暇な身分ではないはずだ。

大学図書館でのアルバイトを終えた満は大学のロビーをひとり歩いている。

学生のほとんどが帰宅したその場所でスマホがピロリンと音を鳴らした。

「は、早見さん!?」

発信元を確認して満は慌てた。