恋は小説よりも奇なり


「私、先生の担当になって三年だけどあんな彼を見たのは初めてよ。武長 奏って――…人間という生き物に対してどこか冷めたようなところがあってね。
理由は色々とあるんだけれど、誰かから何かを貰うってこともほとんどしない人なのよ。関わりたくないっていうか……踏み込まれたくないっていうか」

「それは分かる気がします。随分と拒絶をされましたので……」

満は猫のように背を丸くする。


彼の事情も弁えず、ただ目的を押し通そうとした自分が恥ずかしい。


あまりの子どもっぽさに顔から火が出そうだった。

「その彼があなたのプレゼントは受け取った。あんな性格だからブーブー言っていたけれどちゃんと手にしてた。武長 奏に限っていえばとても特別なことだと私は思うの」

「そういうものでしょうかね……」

満は半信半疑で首を傾げた。

あの拒絶反応を特別だというならそうなのかもしれない。

「だから、会いたかったのかもね。満ちゃんに」

珠子はにっこり笑って話を締めくくった。

彼女があまりに嬉しそうで、満の口からは返す言葉が出なかった。