恋は小説よりも奇なり


二人が座る席の横をウェイトレスが通り過ぎようとする。

珠子が「すみません」と声を掛けて呼び止めた。

「カレードリアセット一つ。満ちゃんは?」

「あっ、えーっと……」

満が慌ててメニューのページをめくる。

「私はほうれん草とベーコンの和風パスタで」

注文を告げると、ウェイトレスは「かしこまりました」とお辞儀をして立ち去っていった。

互いのことについて話を深めていくうちに、二人は同じ大学の先輩後輩である事を知った。

満の将来の夢が文芸の編集者で、HPでコラムを書いていることも話題にあがる。

珠子はそのことにとても興味を持っていた。

互いにオススメの小説を知っている限り教えあった。

食事を終える頃には初対面のたどたどしさはすっかり無くなっていた。

珠子は明るく快活で雰囲気がどこか樹に似ていると満は思った。