恋は小説よりも奇なり


満は聞きそびれてしまった事を全てあきらめてしまう他なかった。

その日の夕方、満のスマホには告知通り高津書房の早見と名乗る女性から連絡が入った。

数日前のドタバタ劇を思い出しながら待つこと三十分、そろそろ何かを注文しないとマズイかと思い始めたその時、カランカランと客の出入りを知らせるベルの音が響く。

満が目を向けると、そこには黒いパンツスーツをカッコ良く着こなしたキャリアウーマン風の女性が立っていた。

女性はきょろきょろと何かを探すように辺りを見渡している。

そして、満が準備していた目印を見てパァっと表情を明るくし、駆け寄ってきた。

「あなたが瀬戸 満さん?」

満は浅く頷いてみせた。

彼女が待ち合わせの相手なのだとすぐに分かった。