***
奏のバースデーパーティーから数日、彼の担当編集者に呼び出された満はガチガチに緊張した面持ちで駅前のファミレスにいる。
待ち合わせの時間は午後七時。
早く着いた方が桃色のハンカチをテーブルの隅に置いて待っているという目印を決めていた。
事の始まりは三日前。
学食でランチをしていた満の携帯に高津書房の専務取締役である大和から電話がかかってきた。
初対面の時、連絡先を教えてもらったがそれ以来だった。
知るはずのない自分の携帯番号をなぜ大和が知っているのかといえば、同じように彼の連絡先を入手した親友を思えば容易に察しがつくものだ。
電話に出てすぐに大和の明るい声が耳に届く。
『あのさ、奏の担当している編集が是非満ちゃんに会いたいって言ってるんだけど……どうかな?』
『はい!?』
用件を聞いて、満が素っ頓狂な声を上げたのは言うまでもない。



