恋は小説よりも奇なり


「なんとなくちゃんと言っておきたくて」

皆とわいわいやりながら言われる“おめでとう”と静かな場所で改まって言われる“おめでとう”は重みが違う気がする。

満は続けた。

「それからこれも――…」

意を決して誕生日プレゼントの袋を差し出する。

白い紙袋を訝(いぶか)しげに見つめる奏。

「何だ、これは」

「お誕生日プレゼント……です」

緊張で震える満の声。

奏は満が持つそれを手にしようとはせず、黙ったまましばらく見つめていた。



『どうせアイツは受け取ろうとしないだろうって――…』



樹から聞いた大和の言葉が満の脳裏で木霊した。


やっぱり受け取らないんだ……


満は差し出した紙袋を無言で引っ込める。

「すまない……」

奏は一言謝罪だけして再び先を歩きだした。