恋は小説よりも奇なり


そして、奏も手を挙げていなかった。

「満も武長さんも不参加なんて寂しいじゃないですかぁ……」

ほろ酔い気味の樹は寂しそうに眉を下げる。

「ごめんね、樹。レポートを仕上げないといけないんだ」

嘘はついていない。

近々提出しなければならないものがあるのは事実だ。

「それじゃあ、しょうがないね……」

樹が渋々納得した。

「主役のくせして二次会不参加かよ」

奏の不参加宣言に大和は少々不満そうだ。

「ここからは基本的に任意の領域だろう。俺がどうしようと俺の勝手だ」

「うわっ、冷た!」

「冷たくて結構」

ごねる大和を奏は一刀両断する。

少しも譲らない。

「それなら、せめて満ちゃんと一緒に帰れよ」

「い、いいです。いいです!」

大和の提案に満はギョッとして、慌てて首を横に振り遠慮した。