恋は小説よりも奇なり


店が用意していたバースデーケーキは苺と生クリームの丸いホールケーキ。

プロが歌うようには上手くないバースデーソング。

奏は少し照れながらもロウソクの火を吹き消した。

誕生日会の最中、大和も樹も主役である奏でさえもプレゼントのことを話題に取り上げることはなかった。

それがあまりに自然で、満はプレゼントを準備している自分の方がおかしいのではないかと何度も錯覚してしまいそうになった。

結局、プレゼントを渡せないまま店を出て、万年筆が入った白い紙袋だけが来た時と同じように満の腕に提げられている。

「二次会行く人、手挙げて!」

「はーい」

樹の声掛けに対して真っ先に反応したのは大和だ。

満は手を挙げなかった。

なんだか胸の奥がモヤモヤして仕方ない。