恋は小説よりも奇なり


本人を目の前にしてその話題を振られると居た堪れない。

「奏ばっかり満ちゃんにちやほやされてズルイよな。俺にもそんな風に言ってくれる子いないかなぁ」

「はい!アタシが言ってあげましょうか?いつも“大和さんがね――…”“大和さんはね――…”って」

立候補したのは樹だ。

小学生が発表をする時みたいに手をピンと伸ばし無邪気な笑顔をみせた。

「マジで。樹ちゃん優しい。おじさん感激」

大和もまんざらでもなさそうで、整った顔がパァっとさらに華やぐ。

樹と大和は馬が合うらしい。

会話のテンポや明るい性格を思えばそれが伺えた。

「武長さんは女の子に興味があったりしないんですか?」

樹の問いかけに奏は少し考えて「……無い」と一言だけ返した。

「なるほど。だからラブストーリー系は専門じゃないんですね」