恋は小説よりも奇なり


「奏も座った、座った」

大和が促すと仕方ないと言いたそうな様子で奏は席へ戻った。

料理やお酒が運ばれてきた後は、それらを食べながらの会話となった。

話し上手な大和は常に会話の中心にいて、明るい樹がそれを盛り上げる。

気遣い屋の満は、彼らの話に相槌を打ちながら料理を取り皿によそったり空いた皿を片付けたりしていた。

こういうのを“適材適所”というのだろう。

「武長さんって小説家でいらしたんですね。本屋さんで初めてお会いした時、どこかで聞いた事のある名前だなぁ……って考えてたら、いつも満が言っていたんですよ。
“武長 奏がね――…”“武長 奏はね――…”って」

「樹、やめてよ。恥ずかしいなぁ……もう」

満がみるみる当惑顔になっていく。