恋は小説よりも奇なり


その態度が奏の神経を逆撫でした。

「俺は帰る」



奏が席から立ち上がった時、二組のヒールの足音が彼らへと近づいてくるのが聞こえた。

「お待たせしました」

先頭を歩く樹が挨拶をする。

堂々としたその形(なり)は同姓の満から見てもカッコイイ女性像そのものだった。

満は慣れないおしゃれに対する照れ臭さもあり、親友の後ろで人見知りをする小さな子どものようにコソコソしている。

「こんばんは……」

それでも満は待っていた二人の前に顔を出し挨拶をした。

気恥ずかしさが抜けず声が小さくなる。

「こんばんは、お嬢さんたち。今夜はおめかしして一段と可愛いね」

大和は自然と女性陣に最高の褒め言葉をかけ、慣れた感じで「こちらへどうぞ」と席にエスコートする。