恋は小説よりも奇なり


会場となる店は素朴な雰囲気だが趣のあるおしゃれなレストラン。

その店に似合わない憮然とした顔で座っているのは、今夜の主役である奏だった。

「この“武長奏先生 お誕生日おめでとうございます。”というメッセージはなんだ?」

奏は店側が用意していたメッセージカードをプラプラ振りながら大和に問いかける。

「何って、バースデーカードでしょ」

大和はしれっと答えた。

「そんなものは見れば分かる。なぜ、初めて来た店の人間が俺の誕生日を知っているのかと聞いている」

「それは俺が予約して“今日は武長奏の誕生日です”って伝えたからだろ」

「大体にして俺は今日、“たまにはメシでもどうか”とお前が言うから来たんだ」

「だから今からメシ食うだろ」

「誕生日を祝うとは聞いていない」

「言ってないもん」

大和は全く悪ぶれない。