恋は小説よりも奇なり


「デザインで人気なのはこちらで、書きやすさで人気なのはこちらですね」

女性店員が親身になって薦めてくれる商品はどちらも素敵で目移りしてしまう。

どちらも手に取って満は熱心に品定めした。

「じゃあ、こっちの万年筆をください」

「かしこまりました。少々お待ちください」

時間をかけて選んだ方の商品を女性店員に渡すと、満は店内の商品を見ながらラッピングが仕上がるのを待った。

色より柄より先に書きやすさを重視した。

彼は小説家だ。

それがいちばんに決まっている。

色は濃紺。

満が思う武長 奏のイメージ。

キャップの縁には金色の装飾が施されていて上品だ。

店を出て一人になると、急に心臓の鼓動がドキドキと早まるのを感じた。