恋は小説よりも奇なり


「俺がやりたいから!」

樹はドンと胸を張り、なんの前触れもなく大和のモノマネをしてみせる。

クオリティーは微妙だ。

続けて「……って大和さんが言ってる」と楽しそうに笑った。

今まで生きてきて、こんなにも主役を丸無視なバースデーパーティーの誘いを受けたことがあっただろうか。

しかし、高津大和という人物ならば平然とした顔でやってのけてしまうような気がする恐ろしい。

「……そうなんだ」

「とにかく、その日の夜はちゃんと空けておいてよね。あと、お誕生日プレゼントとかは気にしなくていいってさ。
どうせアイツは受け取ろうとしないだろうって、大和さんがね」

樹は用件だけちゃっちゃと告げると「そういうことで、よろしく」慌しく図書館を出て行った。


受け取らないってどうしてだろう……


思い浮かんだ疑問は誰に尋ねることも叶わないまま脳裏に残った。