運命が二人を別つ時、奏は雪乃との全てに鍵をかけて無理矢理に心の奥に押し込めた。
思い出も彼女への気持ちも、一欠片も残さず詰め込んで何重にも鍵をかけて……。
自分でさえ触れることが出来ないようにした。
夢の中の雪乃は十年前と何ひとつ変わらない姿で奏に微笑みかける。
変わっているのは奏自身の姿だけ。
彼女の時間は十年前で止まってしまったのだから当然だ。
奏は夢の中で雪乃を必死で追いかけた。
手を伸ばして、声が枯れるまで叫んだ。
しかし、いくら追いかけても距離は縮まらない。
奏の行く手を突風が阻む。
風が目に入り、一瞬だけ雪乃から目を背けた。
目を開けたときにはもう彼女はそこにいない。
そこにいたのは――…
『私は武長奏先生が書く小説が大好きで、これからも沢山読んでもっと大好きになります!』
真っ直ぐな瞳で語る満だった。



