恋は小説よりも奇なり


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式も披露宴も滞りなく行われた。

奏がブーケを受け取ってしまった事以外は。

満と奏は誰もいなくなった教会で聖母マリアと向かい合うように長椅子に腰掛けていた。

帰り際まで花瓶に挿されていたブーケは、日没をむかえた現在でも元気にその美しい姿を保っている。

教会のステンドグラスは月明かりに照らされてキラキラと輝き、柔らかなオレンジ色のライトが高まった気持ちを鎮めてくれた。

「素敵な結婚式でしたね、先生」

満は幸福感に包まれて歓喜な表情をする。

「あぁ。彼女らしいひょうきんな式だった」

「早見さんが聞いたら怒りますよ……」

「いつまでも旧姓で呼び続けるお前もいつかシメられるぞ」

「あ……。今の内緒にしておいて下さいね!」

オロオロと動揺する満の表情が可笑しくて、奏はクスリと笑った。