恋は小説よりも奇なり



「みんな、幸せになーれ!」

ブーケが宙を舞う。
その瞬間、多くの人がそれを求めて手を伸ばした。

ブーケは満の方へ向かって真っすぐ飛んでくる。

そして、ストンと手に収まる。
満の横にいた奏の手の内に。

ゲストたちが唖然とする。

中でも最も誤算だと感じていたのは珠子だ。

「ちょっと!何空気の読めない事してくれちゃってるんですか!」

珠子の怒号が轟いく。

「投げ方が悪いからだ」

奏は一向に悪びれない。

「何ですって!」

珠子がギャンギャン吠える。

興奮気味の彼女を優しそうな旦那が「まぁまぁ……」と諌(いさ)めた。

その場にドッと笑いが起こる。

目の前に来たブーケを偶然にも受け取ってしまった奏に満も苦笑する。

花の甘い香りが彼の腕の中に抱かれたブーケから香った。