恋は小説よりも奇なり



このままでは身体が真っ二つになってしまう。

そんな危機感を覚えた満は渾身の力を振り絞って「私は!」と声を上げた。

二人の言い争いもおさまり、室内は水を打ったような静けさが漂う。

「私は……みんなのものです!」

言い切った。言ってやった。

満は妙な達成感を感じてふんっと鼻息を吐く。

みんなの満ちゃん宣言にポカンとする大人二人。

鐘三つ分の沈黙の後、珠子の大笑いが部屋中に響き渡った。

「それ最高だわ、満ちゃん!今度からそれでいきましょう」

「え……?」

自分が思っていた反応と少し違った珠子の返答。

奏の顔を見ても小さな怪しい笑みを浮かべている。

“誰のものでもない”と言わなかったことを激しく後悔する三秒前。

「みんなのものは俺のもの……俺のものは俺のもの」

「みんなのものは私のもの……私のものは私のもの」

ガキ大将発言二連発に満の体内から嫌な汗が噴き出る。

この二人には一生逆らえない。

そんな気さえして、満は首(こうべ)を垂れて「お手柔らかにお願いします……」と白旗を上げることにしたのだった。