恋は小説よりも奇なり


「奏、自分だけ可愛い子ちゃんと話をしてないで俺にもきちんとと紹介しろって」

スーツの男性はねっとりと絡むような声で奏に話しかけ、彼の細身の横腹をズンズンと肘で突いた。


この人の名前“ソウ”って言うんだ……


図書館で出会って、偶然にも再会した男の名前は満が夢中の小説家と同じ名前。

「横腹を突くのは止しなさい。この娘(こ)はアレだ……、俺に対する嫌がらせの為に神が悪戯に作り出した産物だ。お前にも今朝話しただろ」

奏はさも当たり前の事を言う時のように平然と、普通では考えられないほどいい加減な紹介を友人に行う。

「あぁ、図書館の脚立から奏にダイブしたっていう瓶底メガネ少女かぁ」

紹介をする男も男なら、それで解釈する方もする方だった。