謝罪している大和よりもさらに恐縮した。
大和の早とちりが思わぬ展開に転がったことを思い出した満は頬を淡い桜色に染める。
気恥ずかしさを誤魔化すように周りを見渡した。
珠子の結婚式に必ず招待されているはずの奏の姿が見当たらない。
「あの……武長先生は?」
満は一抹の不安にかられて大和に問いかけた。
「それがさ、まだ来てないみたいなんだよ。時間と場所は伝えたんだけど……」
「それってまさか……」
人嫌いで結婚式逃亡という“一抹の不安”が満の脳裏を過る。
さすがに今回ばかりは許されないと思うと「迎えに行ってきます!」と満は慌てて踵を返す。
「……!?」
勢いよく走ろうとした満を阻むような長身の体躯に衝突した。
「こんな時まで騒々しい奴だな」
奏は小さな紙袋片手に、ぶつかった勢いで満が倒れてしまわないようにしっかり肩を支えて言う。