恋は小説よりも奇なり


満の視線は自然と足もとへ向けられた。

いつもきっちりとした靴を履く奏が今日に限ってサンダルだった。

それもちょっとその辺のコンビニにでも履いてく以外に需要がなさそうな年季の入ったもの。


急いでたのかな……


そう思うと同時に、満の中で彼が空港へやってきた目的が思いつく。

「もしかして、絢子さんの見送りに来たんですか!?でも、もう行っちゃいましたよ。いや……まだ間に合うかな?ちょっと誰かに聞いてみま――…」

カウンターへ向かおうとする満を奏が引き止める。

ただ制止するだけではなく、彼女の華奢な身体をすっぽり自分の腕の中へおさめて。

「ちょっ――…先生……!?」

人目を憚(はばか)らず行われる抱擁。

互いの心臓音が聞こえる距離。