恋は小説よりも奇なり


「……そうですね。満も武長さんと一緒に居たいと思います」

樹は子供のように無邪気な顔で笑った。

その笑顔を見て大和は安堵する。

掴んでいた二の腕を離し「ありがとう」と微笑んだ。


国内線の案内アナウンスが響く。

大和が乗る予定の飛行機だ。

「俺、そろそろ行かないと」

アナウンスを聞いた大和が言う。

「私は満が武長さんと会うのを見届けてから帰ります」

樹は満の方へ一瞬視線を向けて戻す。

「そっか。奏たちのことお願いね」

見届けは樹に任せて大和は彼女から離れていった。


大和が搭乗口へ向かって三十分ほど経った頃、ロビーのベンチにずっと座っていた満がゆっくりと立ち上がる。

時計を確認して、大きなスーツケースを引いて歩き出した。

このままでは満を見失ってしまうと焦る樹。