恋は小説よりも奇なり


「ごめん、樹ちゃん。少し待って」

「何でですか?このままだと何も分からないまま満は行っちゃいますよ!?」

「彼女には彼女の事情があると思う」

「だからそれを今から聞きに――…」

樹は焦っていた。

国際電話もあるが、顔を見合わせて話せなくなるかもしれないと。

拘束を解かない大和に顔をしかめた。

「もう少しすれば奏が来る。間に合うならアイツに話しをさせてやって欲しいんだ。身勝手だって分かってる。話をしたいのは樹ちゃんだって同じだろうから。それでも今はアイツに……」

口下手な幼馴染に機会を与えてやって欲しいと大和は心から樹に頭を下げた。

大和の姿を目の当たりにした樹は冷静さを取り戻していく。

いつも明るく軽いノリで飄々とした彼。

いつになく真剣な態度。

大切なのは親友の気持ちだったと思い直す。