恋は小説よりも奇なり


大学の門を出た満の前にタクシーが一台停まっている。

車内から出てきたのは竹井 絢子だ。

前回会った時の事を思い出すと満としては顔を合わせ辛かった。

奏は絢子を大切に思っている。

そして絢子にとっても奏は誰にも変え難い愛しい人。

自分に持っていないものをたくさん持っている彼女。

羨ましいと思ってしまう自分を感じたくなくて、満はその場から一歩後退りする。

そんな満の気持ちを知らない絢子は、満の存在を確認してスタスタと歩いてきた。

「こんにちは。私とあなたってよほど縁があるかしら。でも、探す手間がはぶけたわ。
時間が空いているならこれから空港までドライブしない?……って言ってもタクシーだけど」

「えっと……」

時間はあるが絢子といる時が不安で返答に困る満。