恋は小説よりも奇なり


***


人生の先輩からアドバイスをもらった。



人に切り開いてもらった人生は楽だけどつまらない――…



その通りだと思った。

仮に、あの時大和に答えをもらってその通りに行動したとしても心は完全には納得しなかっただろう。

人に流されて選んだ道に後悔する日がくるかもしれない。

失敗した時にはきっと誰かのせいにしてしまう。

彼はそんなことにならないように自分で決める道を残してくれた。


「……では、よろしくお願いします」

満は丁寧に頭を下げて中島教授の研究室から出る。

手には白い大きなスーツケース。

ゴロゴロと規則正しい音を響かせながら廊下を歩いた。

この大学にいられる時もそう長くない。

やれる事はやっておかなければならない。

満の瞳は真っ直ぐと先を見据えていた。