恋は小説よりも奇なり


満の心は再び大海原へと放り出されたようで不安だらけだった。

「余計なことは一旦何もかも頭から投げ出して、行きたいかそうじゃないかだけに絞るのもいいかもしれない。
大丈夫、満ちゃんが出した答えをみんな信じてる。まぁ、もし行くことになったら奏は特に淋しがるかな。勿論、俺も珠ちゃんもね」

大和の口から奏の名前が出て、満の心臓は一瞬大きく跳ねた。

ココアの入った缶を持つ手に自然と力がこもる。

「武長先生にこの話はまだ――…」

「そうだね。伝えるなら結論が出た後に満ちゃんから直接言う方がいい」

「はい、ありがとうございます」

話を聞いてくれた大和に心からの感謝を満は告げた。

「どういたしまして」と笑う大和がすごく大人で、こんな人の下で働くことができたらどんなに幸せだろうと心から思った。