恋は小説よりも奇なり


その話に本人よりも悔しさを露わにしたのは満だった。

眉根を寄せて大和をみつめる。

「……そんなのただの僻(ひが)みじゃないですか。高津さんもそんな風に言われて悔しくなかったんですか?」

「まぁ、七光りがあったのは事実だし。使える光ならおおいに役立てとぐらいは思っていたのも本当だから」

大和の答えは実に楽観的。

お坊ちゃまの余裕というやつか。

満は少しガッカリした表情を浮かべる。

奏のバースデーパーティーで樹のフォローをした時はただの七光りでないと思っていたのに。

「今ちょっとガッカリしたでしょ?」

大和が問う。

満の首が遠慮気味に縦に動いた。

「満ちゃんは正直だね。そういうところも好きだけど。さっき言ったことは嘘じゃない。でも、やっぱりあることないこと好き勝手言われんのは俺だってムカつくからさ……。
未来ある新人とっ捕まえてベストセラー書かせまくって、俺の杭を打つトンカチを完膚なきまでに叩き壊してやった」

満はポカーンと口を開けた。