恋は小説よりも奇なり


「それにしても、満ちゃんも大学四年生か……。卒論とか就活とかどんな感じ?」

大和は持ってきたコーヒーを飲みながら当たり障りのない話題を持ちかけた。

学生相手にはよくありがちな会話。

しかし、今の満にとってそれはもっとも痛い悩みの種だった。

「みんなてんやわんやしてます。私も含め……」

満は暗く答えてココアを喉に流し込む。

甘くて優しい味が口いっぱいに広がる。

「それが大学生最後の試練だからね」

大和が同情するように何度も頷いて見せた。

「俺はさ、就職先には苦労なかったけど入社してからは結構ヘビーだったよ。先輩や同期からは親の七光りだって言われ、実力も親の力だって叩かれまくり。
出る杭を打ちたがるのは世の常だけど、まっすぐ打たれることなんて一度もない。横から斜めからフルボッコ」

軽い世間話のつもりで大和は話す。

若い時分の思い出話。