恋は小説よりも奇なり


「こんな場所しかとれなくてごめんね。はい、ココア」

原稿持ち込み者用の狭いブースで待機していた満のところに申し訳なさそうな顔をした大和がホットココアとコーヒーを持ってやってきた。

「いいえ。こちらこそ飲み物まで。あっ、お金……」

ココアの代金を支払おうと財布を取り出す満に「いいの、いいの」と大和が宥(なだ)める。

「遊園地の時、奏の仕事を満ちゃん一人に付き合わせちゃったしさ。お蔭で樹ちゃんと楽しい時間を過ごさせてもらった。
そのお礼諸々兼ねてるんだ。あー、でもココア一杯じゃ安すぎたかな」

ハハハと笑う大和。

親友と真摯に接してくれていることが分かって満は嬉しかった。

「とんでもないです。ありがとうございます」

ココアのお礼もあるが、親友とのことに対して心から感謝する。