空まで届きそうな大きなビル。
この中にいる人はみんなそれぞれ夢や誇りを抱いて仕事をしている。
満の憧れの場所。
ここへ来れば何か答えが見つかる気がした。
「……何やってるんだろう、私」
ビルを眺めて解決するならとっくに解決しているはずだ。
小さな溜息。
少量の二酸化炭素と一緒にたくさんの幸せが逃げているようだった。
「あれ、満ちゃん?」
満を呼ぶ明るい声。
黒い外車の後部座席から降りてきた大和だ。
「ご、ご無沙汰しています」
遊園地へ一緒に行って以来はじめて会う顔に満は深々と頭を下げた。
大和は他人行儀な満に「久しぶり」と小さく笑って、頭をポンポン撫でる。
満も初対面の時のようなガチガチの緊張感はなく、頭を上げてにっこりと微笑みを返した。



