恋は小説よりも奇なり


中島教授はただ者ではないと薄々感じていた。

飄々(ひょうひょう)としただけのかわいいお年寄りではないと思っていた。

それでも、世界的権威者を知り合い呼ばわりとは満の予想を軽く超えていた。

金魚のように口をパクパクさせて言葉にならない。

「驚くのも無理はない。瀬戸ちゃんも四年生……将来の事も自分なりに考えとる頃じゃろうて。ただ、今回の話は文芸好きな瀬戸ちゃんにとっていい話なのは確か。
ゆっくり考えてみるぐらいいいじゃろうと思うての」

満の戸惑った心を中島教授のゆっくりと穏やかな声が静めていく。

「……はい。考えてみます」

そう答えて満はまた一口お茶をすすった。