『ずっと一緒にいましょうね、奏ちゃん』
雪乃はそう言って、薬指にはめられた指輪を嬉しそうに見つめていた。
彼女の言葉通りの人生が続いていくものだと信じて疑わなかった。
十年前、指輪を返される時までは――…
雪乃は突然マンションを訪れて、肌身離さず身に着けていた指輪を置いて去って行った。
納得がいかなくて奏は雪乃の後を追う。
ただ、納得できる理由が知りたかった。
雪乃の口から出たのは“もう一緒にいられない……”という一言だけ。
奏は雪乃を責めてしまった。
獣が小動物を追い込むように。
その結果、雪乃は通りを飛び出して車と衝突した。
帰らぬ人となった彼女を前に皆は口々にこう言った。“あなたのせいじゃない”と。
咎められるよりも酷く心に残って、火傷の痕のようにその言葉がじりじりと焼き付いた。



