「大切に想っているんですね」
「あぁ、すごく」
奏の優しい横顔が満の胸にチクリと細い針を刺す。
マンションで仲睦ましい二人を見てから、ただならぬ絆のようなものを感じていた。
誰にも入り込めない何かが彼らの間には確かに存在しているようで。
「お前のそそっかしい性格を考慮して言っておくが……。“大切”にも色々な種類があるわけで――…」
満は慌てて奏の口を両手で塞ぐ。
「いいです、いいです!さすがの私もそれぐらい分かってるんで。先生が自分の部屋へ招くほど仲良くて、ここまでハッキリ宣言されてすっ呆けていられるほど抜けてないと思ってるんで」
これ以上、絢子への気持ちを聞いて平気でいられるほど人間ができていない。
一言も喋らせてなるものかと言わんばかりに満の手に力が入る。



