恋は小説よりも奇なり


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明くる日、満は小学生の頃からの親友 小林 樹(こばやし いつき)と会っていた。

美容専門学校に通う樹は、流行に敏感で少し濃い目のメイクをした今時の女性だ。

丸一日を満のアパートで過ごした二人は、夜になり最寄りの駅までの道のりを歩いている。

「……それで、どうだったの?」

「どうだったって――…凄く感動したよ。やっぱり武長 奏の小説は最高だね」

「誰が小説の感想を言えって言ったのよ。アタシが聞きたいのは“彼”はどうだったのってこと。
アンタ、電話で話してたじゃない。『昨日、市立図書館で変わった男性に出逢った』って……」

樹の質問の主旨を満はようやく理解した。

小説の内容ではなかった事に「あぁ、その事……」とちょっとガッカリした返事をする。