恋は小説よりも奇なり


雪乃と絢子は従姉妹同士だが、本当の姉妹のように仲が良かった。

奏は絢子の邪魔をしないように立ち上がる。

冷たい潮風が奏の肌を撫でた。

寒い季節。

墓石も冷たく冷え切っていた。

夏は太陽の日差しが容赦なく照りつけ、冬はこの有様。

それでもこの場所で眠る事を雪乃は自分で選択をした。


『ココ気に入った!私が死んだら必ずこの場所にお墓を立ててね』


雪乃は生前、奏と二人でこの岬へ訪れて唐突に話した。

奏は“縁起でもない”と軽く叱り、本気にしていなかった。

日頃の不摂生(ふせっせい)で言えば、奏の方が先に逝くと誰でも答える。

自分自身でさえもそう思っていた。


『約束を破ったら化けて出てやるから……』


両手をビローンと垂らし、番町皿屋敷よろしく恨めしそうに言った雪乃。

その姿があまりに馬鹿馬鹿しくて、奏はどうしてそんな事を言うのかなどと聞きもしなかった。

その日から間もなくして雪乃はこの世を去った。


まるで、自分の死をはじめから予期していたかのように――…