恋は小説よりも奇なり


「あの……私に何かご用でしょうか……?」

満は彼女の傍に寄り恐る恐る尋ねた。

目的の人物をようやく探し当てた絢子が美しい顔をニッコリと綻(ほころ)ばせる。

「お久しぶり……って言うのがいいかしら」

「は……はぁ」

「これから時間があったらお茶でもしながら少しお話ししない?」

絢子は笑顔を絶やさず満に問う。

彼女が返事に迷うことを知っているみたいな顔。

断れば先がない気がした。

「分かりました」

満は静かに頷く。

絢子がさっそく車へ戻ると扉を開けて「どうぞ」と招いた。

満と絢子は趣(おもむ)きあるカフェで向かい合わせに座っている。

コーヒーをすする姿さえもが優雅で、満の緊張はさらに高まりをみせた。

「急に誘いをかけてごめんなさいね。私の名前は竹井 絢子。どうしてもあなたと話したいことがあって寄らせてもらったの」

「……何でしょうか?」

「回りくどいのはあまり好きじゃないから単刀直入に聞くわね。あなた、武長さんとどういった関係なの?」

満の心臓が大きく跳ねた。