恋は小説よりも奇なり


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翌日、満は樹からの電話で目を覚ました。

樹のシャキッとした声は酷い頭痛で苦しむ満の頭にズキズキと響く。

『飲めないくせにあんなに飲むから……』

「す、すみませんでした……。ウチまで送ってくれてありがとう、樹」

満はガクリと項垂れて額を押さえた。

いくら考えても樹と食事を始めた後の事が思い出せない。

アルコールによって記憶は完全にかき消えていた。

『お礼なら武長さんにも言いなよね。もう少しでアパートだってところで寝込んじゃったアンタを部屋まで負ぶってくれたんだから……』

樹の言葉に満は顔面蒼白になる。

自分の記憶にないところでまで醜態をさらしていたとは、頭痛が酷くなりそうだ。

「そう……だったんだ。お礼……言わなきゃね……」

奏の顔を思い出すと満の胸はキューっと苦しくなった。