恋は小説よりも奇なり


「アタシ……満にはいつも笑っていて欲しいんです。これからの人生をずっと笑顔で生きていくのは無理なことだってもちろん分かっています。
だから、傷ついた時はアタシが傍にいてあげる。でも――…」

樹が奏に鋭い視線を浴びせる。

そして、満の持ち物である紙袋を彼の胸に押し付けるように渡した。

「満を傷つけるだけの人がいるならアタシは許さない。誰であっても絶対に……」



それがたとえ彼女の好きな人であっても――…。



アパートに着くと樹が満の鍵で部屋を開けて入室した。

寝室を教えてもらった奏は彼女の身体を落とさないようにしっかり背負って寝室へ向かう。

寝室にはベッドの他に小さな棚が置かれており、その中には数冊の小説本が並んでいた。