恋は小説よりも奇なり


「天気予報にまんまと裏切られたな……」

子ども用に作られた狭い遊具の中で奏が零す。

彼の横で小さく縮こまってしゃがむ満は「そうですね……」と頷いた。

「……っくしゅん!」

雨音以外全ての音が消え失せる公園内に小さなくしゃみが響き渡る。

うつむいたまま鼻をすする満の短い髪の先からポツンと水滴が落ちた。

雨は濡れた身体から容赦なく体温が奪っていく。

奏は自らの上着を脱いでそれを彼女の肩にそっと掛けた。

しかし、満は眉間に深い皺が刻み、苦々しい表情を浮かべる。

「……いりません。寒くないですから……」

掛けてもらったその上着を奏の胸元に押し付けるようにして突っ返してしまった。

「そんなに震えて寒くないわけないだろ……。いいから掛けて――…」

彼がもう一度肩に掛けようと試みるも、満はパシッと手をはたいてそれを拒んだ。