恋は小説よりも奇なり


洋館のような個展は振り返ってもすでに見えなくて、あんなに人通りの多かった市街地は静かな街はずれへと姿を変えた。

街並みは変わっても満が金魚のフンよろしくなことは相変わらず。

今度“いつまでついて来るつもりだ”と問われれば“先生を送って帰ります”と答えようと満は決めていた。

なんだかストーカーっぽいが何も答えられないよりマシだ。

答えを決めている時に限って質問が来ない。

人生はそう易々と思う方向には進んでくれない。

その時、頭にポツリと冷たい滴が落ちるのを満は感じた。

息つく間もなくバケツをひっくり返したような雨が灰色のアスファルトを黒色に染める。

二人は雨宿りができそうな場所を求めて近くの広場へ駆け込んだ。

少し色あせた機関車の遊具。

たったそれだけしかない殺風景な場所。