恋は小説よりも奇なり


箱を開けた瞬間、焼きたてパンの香ばしい匂いがふんわりと漂った。

サンドイッチを頬張り、口内の乾燥をコーヒーで潤す。

そして、ようやく自分の周りの異変に気付いて軽く周囲を見渡した。

「そういえば、大和と派手な友人はどうした?」

「二人とは午後から別行動になりました」

奏にとっては寝耳に水な話。

仕事に夢中だったとはいえ、三人だけで予定を決めてしまったことには満も後ろめたさを感じていた。

知らない間に進んでしまった現状への不満が奏の顔から包み隠さず表れていた。

「あの常春男……。俺をこんな場所に連れ出しておいて、自分はさっさと女ととんずらとはいい度胸だ……」

奏の目尻がヒクヒクしている。

噴火寸前の合図。