恋は小説よりも奇なり


締め切り間近になると電話線ブッチして家に立てこもるくらいだ。

いつか変死体で発見されて新聞の一面を飾りかねない。

考えれば考えるほどリアルで、満の背中に悪寒が過ぎった。

「そういうわけだから、奏のことはあまり気にせず食っちゃって。アイツ待ちで折角のコンソメスープが冷めるのはごめんだから」

大和は怖いくらいに場慣れしている。

大丈夫だという彼を信じて、満たちはようやく食事に手をつけることができたのだった。



作家 武長 奏のインスピレーションが落ち着きを取り戻したのは彼以外の全員が食事を終え、樹と大和が二人で別行動をとることになってしばらく経った頃。

「はい、どうぞ」

満はレストランでテイクアウトしておいたサンドイッチとコーヒーを差し入れる。

「すまない」

奏は少し遠慮気味に袋を受け取ると、近くのベンチに腰をおろした。